こういう絵本もいいなぁ。

星空放送局

星空放送局

中村航さんの、星空放送局を読みました。とっても好きな一冊になりそうです。
形式としては、どちらかというと、電撃文庫乙一さんの作っているような大人向け絵本となっています。イラストは、今まで中村さんの作品すべてのブックカバーを手がけていらっしゃる、宮尾和考さんです。(絶対、最強の恋のうたのカバーイラストも、ぐるぐるまわるすべり台のも好きです。)
中村さんの作品は、ぐるぐるまわるがちょっとピンとこなかった。そのときは純文学的な本を敬遠していたせいもあったのも原因かもしれない。絶対、最強の恋のうたは少し響くものがあったのだけど、そこまで自分の中でヒットではなかった。

でも星空放送局はぽかぽかと暖かい気持ちになれるいい絵本です。

物語は三話に別れています。物語には少女、少年、クロネコという感じの登場人物で、そこで物語が閉じてしまわないところが好きです。街にはたくさんの人がいてその営みを感じながら物語は進んでいきます。この先ネタバレを多少含みます

念には念をで白反転させてます。


それぞれの話について振り返っていくと

  • 一話『出さない手紙』

まず、出さない手紙というタイトルがお話の流れをを明示しているのにどこかくすぐったいような気持ちになります。
お話としては、女の子が牛乳配達をしているであろう少年に恋をしているという、ただそれだけの話です。そこでもやっぱり牛乳配達をする彼が如何にカッコイイかという話ではなく、牛乳が届けられることに対する感謝だとか、牛乳がどうやって作られているのかに思いをはせたり、一緒にいるおばぁちゃんのこと、星空のこと、そして牛乳そのものが好きってこと。その気持ちが綴られた手紙は出されることはないけど、いたずらに書いたものかも知れないけど。

  • 二話『カラスは月へ』

物語は一転、少女の話ではなく、カラスとウサギの話になります。カラスとウサギという組み合わせも珍しいのですが、この2人にどこか通じ合うものができる流れが好きです。
にんじんを食べないウサギは別にカラスの事が好きだった訳では無いと思う。カラスもにんじんがたわむれにほしかっただけで。
そのやり取りの中段々気の置けない仲になっていく2匹。
うさぎくんという言葉がそれを象徴しているとおもいます。
そして、カラスはウサギのために飛び立ち月を探しに行く。
この辺の筋書きはbump of chickenの『K』を思い出しました。
二話はもう少し読み込みが必要なのでまた気付いたら。

  • 三話『星空放送局』

三話はラジオDJ語り部調で、ラジオ番組の中で物語が進んでいきます。
ここからの流れも割とコミカルタッチに描かれて、読んでいてわくわくします。
ネタバレすると言いつつ勿体ないので、三話は実際に読んでほしいです。

今日3/13から関東に向かいます。目的地が関東というわけではなく、そこまで騒ぐレベルではないかもしれませんが。一言だけ、みんなありがと。最愛の人ありがと。

とにかくいい絵本なので。